社会福祉法人 はりま福祉会

せいりょう園の介護ケア

せいりょう園の介護ケア

せいりょう園の介護ケア

介護は、利用者がその人らしく社会生活を維持できるように、適度に、そして適宜に、提供されなければなりません。
お年寄りは数十年の過去の上に、今の生活を組み立てています。
そこで介護者は、今の生活を見て、過去の数十年を把握し、これからのその人らしい生活を想像し、それに役立つ介護を決定し、適宜に提供しなければなりません。
今の生活を見るとき、在るものを在るように素直に見ることが出発点です。そしてそれが案外と難しいようです。
同じ所で同じペースで生活している人でも、そのこだわる部分や強弱は人それぞれに違います。
その人その人に応じて生活が見えなければなりません。鋭い観察力が必要です。そこでは観察者の価値観は邪魔になります。
ひと先ず自分の感覚を捨てて、見えるものを素直にスケッチして下さい。この観察力が介護職にとって終生の基本です。
何年経験しても絶えず立ち戻るべき基本です。

  • 1お年寄りの側で、お世話を探さないで、共に時を過ごして下さい。共に過ごすことが介護の始まりです。
  • 2理解や同意・同感は当面差し控えて下さい。他人の話を聞くとき、行動を観察するとき、同意・同感する部分を探すのではなく、その人なりの言動を受け入れ、ありのままの姿を素直に見て下さい。
  • 3施設の生活全体をスケッチして下さい。一人一人のお年寄りをスケッチして下さい。
  • 4Aさんの過去や背景を想像して下さい。今見えているAさんは氷山の一角の、そのまた一部です。水面下の見えない部分や裏側を豊かにイメージして下さい。そして、障害を受容した人は、以前のその人とは違う地点に立って暮らしているのであり、変身を遂げて今の姿が在る事を忘れないで下さい。
  • 5戸惑いを避けないで下さい。その戸惑いが次のステップへの扉を開いてくれます。

介護は正解が一つ、という業務ではありません。同程度に正しい答えが幾つも在ります。介護者は、利用者本人の感覚に添って状況を判断し、本人の価値観に添って理論展開して、一つの結論を導き出すことが求められます。

介護職には、様々な異なる価値観に添った理論展開と、その先に在る生活をイメージするトレーニングが重要です。それを数多く経験し、他人の立場で思考し生活をイメージできたとき、介護専門職として、その人その人に相応しい生活実現への出発点に立てるのです。今の自分の感覚と価値観を出発点にする事は、厳に戒めたいと思います。